先日、製造業を営む社長とランチをしていたとき、こんな話が出ました。
「スマホ代、ずっと自腹で払ってたんだけど、これって経費にできるの?」
毎月1万円前後のスマホ代を、何年も個人のお金で払い続けていたというのです。年間にすると12万円。それを何年も…と考えると、正直もったいないなと思いました。
「個人払い」を続けるほど、じわじわ損している
社長のスマホは、ほぼ仕事で使っています。取引先への連絡、現場との調整、移動中のメール確認。プライベートで使う時間より、業務で使う時間のほうがずっと長い。
それでも「なんとなく個人のもの」として処理してきたという社長は、意外と多いんです。
法人税率が約30%だとすると、12万円を経費にできれば、それだけで約3.6万円の節税になります。5年続ければ18万円。「ちりも積もれば」ではなく、これはけっこうな金額です。
やることは、たった2つ
難しい手続きは必要ありません。ポイントはシンプルに2つです。
まず、契約を法人名義に切り替えること。個人名義のまま会社が払っても、経費として認められにくくなります。名義が会社になっていることが、「会社の費用」として処理する大前提です。
次に、業務で使っている実態を残すこと。税務調査が入ったときに「業務で使っています」と説明できるよう、業務連絡の履歴や、利用用途をざっくりでも記録しておくと安心です。「社長の個人用スマホを会社が払っているだけ」と見られないようにするのが目的です。
この2点を押さえるだけで、毎月のスマホ代を会社の損金として計上できるようになります。
自宅のネット回線はどうする?
テレワークや在宅での業務が増えた今、自宅のインターネット回線を仕事に使っている社長も多いと思います。これも経費にできます。ただし、スマホと少し考え方が違います。
自宅の回線は「プライベートでも使う」ものなので、全額経費にはできません。代わりに使うのが「按分」という考え方です。
1日のうち業務に使う時間の割合、あるいは部屋の面積の割合などを根拠にして、経費にできる割合を決めます。たとえば「業務利用が6割」と判断すれば、月1万円の回線費用のうち6,000円を経費にできます。
按分の割合に決まった正解はありませんが、合理的な根拠があれば認められます。どう設定するかは、顧問税理士と相談しながら決めるのがベストです。
「うちはもう法人契約してる」という社長へ
法人名義で契約しているのに、なぜか社長個人が料金を立て替えて、会社に請求し忘れている…というパターンも見かけます。
毎月の支払いを会社口座から引き落とすか、仮払いや経費精算のフローを整えておくと、こういった「処理漏れ」を防げます。せっかく法人契約にしているのに、経費として帳簿に載っていなければ意味がありません。
複数台持ちなら、さらに効果が大きい
社長がスマホを2台持ち(プライベート用・仕事用)にしている場合、仕事用の1台はまるごと法人経費にできます。端末の購入費用も、条件によっては一括または減価償却で損金にできます。
「1台は完全に仕事専用」と割り切れる場合は、按分の手間もなく処理がシンプルになります。社員に会社名義の携帯を持たせている場合も、同じ考え方が使えます。
今日から動けることがある
「知らなかっただけで、ずっと損してた」という話は、税務の世界ではよくあります。スマホ代・ネット代の経費化は、その中でも特に手をつけやすい部類です。
法人契約への切り替えは、キャリアの窓口やオンライン手続きで対応できます。まだ個人払いのままにしているなら、今月中に動いてみてください。年間12万円という数字は、動いた人だけが手にできる節税です。
顧問税理士がいる方は、次の打ち合わせのときに「携帯とネット、法人経費にできますか?」と一言聞いてみるだけで話が進みます。まだ顧問税理士がいないという方は、この機会に相談先を探してみるのもおすすめです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。