先日、顧問先の社長からこんな連絡をもらいました。「来年から控除が減るって聞いたんだけど、うちは大丈夫?」と。
2026年度の税制改正をめぐる議論の中で、個人の控除まわりに縮小の動きが出てきています。まだ確定情報ではありませんが、方向性を知っておくだけで打てる手は変わります。今日は社長が押さえておくべき3つのポイントを、優先度が高いものから順にお伝えします。
第3位 基礎控除の上乗せ縮小懸念
まず気になるのが、基礎控除の上乗せ措置です。近年の物価高対応として基礎控除額に上乗せ分が設けられていましたが、2026年度改正ではこの上乗せ幅が縮小される可能性が指摘されています。
上乗せがなくなれば、社長個人の所得税・住民税の課税所得が数万円単位で増える計算になります。額としては大きくないように見えるかもしれませんが、役員報酬の設計次第では複数年にわたって効いてきます。
ここで大事なのは「縮小されるかどうか」を待つのではなく、役員報酬の水準を毎年見直す習慣をつけておくことです。控除の変動があっても、報酬設計側で吸収できる余地を持っておけば慌てずに済みます。
第2位 扶養控除の要件見直しか
次に注目したいのが扶養控除です。扶養親族の所得要件や年齢区分について、見直しの議論が出ています。
特に、お子さんを役員や従業員として雇っている、あるいは配偶者を扶養に入れている社長にとっては影響が出やすいポイントです。要件が変われば、これまで扶養に入れられていた家族が対象外になるケースも考えられます。
実際、ある製造業の社長は、奥様を扶養に入れたまま数年間見直しをしていなかったことに気づき、決算前に慌てて所得区分を確認し直したことがありました。扶養の要件は毎年チェックする、これだけで防げるリスクです。
第1位 出口設計で差がつく
そして最も重要なのが、退職金や事業承継といった「出口」の設計です。控除の縮小は入口(毎年の所得税)だけでなく、将来受け取る退職金の手取り額にも影響してきます。
退職所得控除や分離課税の仕組みは、基礎控除ほど頻繁には変わりませんが、税制改正の議論が個人課税全体の見直しに波及すれば、無関係ではいられません。むしろ、控除縮小の流れがあるからこそ、退職金の受け取り時期や金額設計を今のうちに固めておく価値が上がっています。
年商5億円規模の会社で、退職金の設計を10年後に先送りにしていた社長がいましたが、改正のたびに前提が変わってしまい、結局は毎回作り直しになっていました。出口は早めに設計し、改正のたびに微調整する方が結果的に手間もコストも少なく済みます。
今のうちにできること
控除縮小はまだ確定した話ではありませんが、議論が出ている以上、放置しておくのはもったいないです。役員報酬の水準、扶養親族の要件、退職金の出口設計。この3つは、今期の決算を待たずにチェックリストとして一度洗い出しておくことをおすすめします。
まだ出口設計に着手していないなら、次の決算前に一度、顧問税理士と一緒に棚卸ししておくと安心です。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。