先日、顧問先の社長からこう聞かれました。

「3年前に税理士さんに勧められて入った保険、あれってまだ節税になってますよね?」

答えに詰まりました。その保険は、今の税制ではもう当時ほどの節税効果を持っていなかったからです。

節税は「一度組んだら安泰」ではない

節税スキームというのは、その時点の税制というルールの上に成り立っています。ルールが変われば、同じ手法でも効果が薄れたり、最悪の場合は否認リスクを抱えたまま放置されることになります。

特にここ数年は、法人向けの節税策に対する規制が立て続けに入りました。代表的なものを3つ、振り返ってみます。

全額損金保険——2019年の改正で様変わり

かつては、支払った保険料をほぼ全額損金にできる法人保険商品がありました。ところが2019年の通達改正で、解約返戻率に応じて損金算入できる割合が細かく区分されるようになりました。

返戻率が高い商品ほど資産計上の割合が増え、「全額損金」という前提そのものが成り立たなくなったのです。当時この商品を提案されて加入した会社は、今の申告で当時の説明どおりに損金処理をしていないか、一度確認しておく価値があります。

名義変更プランも塞がれた

法人契約の保険を、解約返戻金がまだ低いタイミングで役員個人に名義変更し、安く買い取ってもらう。その後、返戻金が上がったところで個人として受け取る。こうした「名義変更プラン」も、一時期は定番の節税手法として広まりました。

しかし2021年の通達改正で、名義変更時の評価方法が明確化され、実質的にこの手法の旨味はなくなりました。今も同じ発想で契約が動いている会社があるとすれば、想定していた節税効果はすでに得られない状態になっている可能性があります。

消費税還付スキームへの規制強化

高額な資産を取得して消費税の還付を受け、その後で簡易課税や免税事業者に切り替える、という還付スキームについても、高額特定資産を取得した場合は一定期間、簡易課税の選択や免税事業者への変更ができないという規制が段階的に強化されています。

「還付だけ受けて、あとは元に戻す」という発想そのものが、制度上通りにくくなっていると考えられます。

点検のタイミングは決算前がおすすめ

こうした改正は、国税庁が突然公表するわけではなく、税制改正大綱や通達という形で事前に情報が出ています。ただ、日々の経営に追われていると、そこまで追いかける余裕がある社長は多くありません。

だからこそ、節税は「組んだら終わり」ではなく、少なくとも年に一度、決算前のタイミングで「今のルールに照らして、この対策はまだ有効か」を点検する習慣が必要です。顧問税理士がいる場合も、任せきりにせず「これ、今も大丈夫ですか」と一言確認するだけで、リスクの発見につながることがあります。

古い前提のまま放置されている節税策に心当たりがあるなら、次の決算までに一度、棚卸ししてみることをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。