先日、ある社長からこんな話を聞きました。税務調査に入られたとき、追徴課税を覚悟していたら、逆に「これ、経費に入れてませんね」と指摘されたというのです。
意外に思われるかもしれませんが、税務署は否認するだけでなく、入れ忘れの経費を指摘することもあります。払わなくていい税金を払っている状態は、税務署にとってもイレギュラーだからです。
この記事では、社長が知らず知らずのうちに計上し忘れている経費を5つ紹介します。
自宅兼事務所の家賃按分
自宅の一部を事務所として使っている社長は多いはずです。それなのに、家賃をまったく経費にしていないケースをよく見かけます。
仕事で使っている床面積の割合や、実際に業務で使っている時間の割合で按分すれば、家賃の一部は堂々と経費にできます。たとえば自宅の3割を事務所として使っているなら、家賃の3割を目安に計上する、という考え方です。
重要なのは、按分の根拠をメモや図面で残しておくこと。「なんとなく3割」ではなく、部屋の面積比を測って記録しておくだけで、説明力がまったく変わります。
通信費の按分も同じ発想で
家賃と同じ理屈が、携帯電話代やインターネット回線費にも当てはまります。プライベートと仕事の両方で使っているスマホの料金を、全額プライベート扱いにしていないでしょうか。
業務での使用割合を大まかにでも算出し、按分して経費に入れる。この「大まかにでも」がポイントで、完璧な数字である必要はありません。通話履歴やアプリの使用時間など、何かしら合理的な根拠があれば十分です。
少額の消耗品を「面倒だから」と諦めない
数百円〜数千円の文房具や備品を、レシートをなくしたり記帳が面倒だったりで経費にしていない社長もいます。1回あたりは小さくても、1年間積み重なると意外な金額になるものです。
領収書をもらう習慣を作るだけで、この機会損失は防げます。スマホで撮って会計ソフトに放り込むだけでも、十分な証憑になります。
出張時の日当は「規程」があれば強い味方に
出張が多い社長ほど見落としがちなのが、出張日当です。旅費規程を作成し、そのルールに沿って日当を支給すれば、会社の経費として計上でき、しかも受け取る側は所得税・住民税がかかりません。
これは節税効果が大きい一方で、規程がなければそもそも成立しません。「規程を作るのが面倒」という理由だけで、この恩恵を毎年逃している会社は少なくないのです。
書籍・研修費も「学び」への投資として計上を
業務に関連する書籍代やセミナー・研修の参加費も、落とし忘れが多い経費のひとつです。経営に直結する知識への投資であれば、経費として説明がつきます。
読んだ本のタイトルや研修のテーマをメモしておくだけで、業務との関連性を説明しやすくなります。逆に、業務とまったく関係のない趣味の本まで経費にしようとすると、そこは否認リスクが高まるので注意が必要です。
怖がって経費にしないのは、実は「払いすぎ」
ここまで見てきたように、事業との関連を合理的に説明できる支出は、根拠さえ残しておけば堂々と経費にすべきものです。「調査で指摘されたら怖いから」と、グレーでもない支出まで計上を避けてしまうのは、単なる払いすぎに終わってしまいます。
大切なのは、按分の根拠や利用実態をメモ・記録として残しておくこと。それだけで、経費として認められる可能性は大きく変わってきます。
まだ旅費規程を整備していないなら、今期中に作っておくのがおすすめです。日当という形で、税負担を抑えながら出張のコストをまかなえる仕組みが手に入ります。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。