先日、ある製造業の社長から「税務調査で印紙のことを指摘されて、思った以上の金額を請求された」という相談を受けました。

金額を聞くと、本来払うべき印紙税の3倍近い金額です。社長は「たかが数百円の印紙でしょう」と軽く考えていたようですが、これが積み重なると決して小さな額では済みません。

契約書や領収書には印紙税がかかる

請負契約書や金銭消費貸借契約書、5万円以上の領収書など、一定の文書には印紙税がかかります。

金額に応じて必要な印紙の額が決まっており、文書に貼った上で、印紙と文書の彩紋にまたがるように消印をする。これが正しい手順です。

この消印は「使い回し防止」のための決まりで、貼るだけでは不十分な点が意外と知られていません。

貼り忘れが見つかると過怠税は3倍

税務調査などで印紙の貼り忘れが発覚すると、過怠税という形でペナルティが発生します。

その金額は、本来納めるべき印紙税額と、その2倍相当額を合わせた、合計で本来の3倍です。1000円の印紙を貼り忘れていただけでも、3000円を追徴されることになります。

しかも、これは1枚あたりの話です。契約書を交わす機会が多い会社ほど、積み重なると数十万円単位の負担になることも珍しくありません。

ちなみに、印紙は貼ってあるのに消印だけを忘れていた、というケースでは、印紙税額と同額の過怠税がかかります。「貼ったから安心」ではなく、消印まで済んで初めて完了だと覚えておいてください。

自主的に申し出れば軽減される

実は、貼り忘れに自分で気づいて、税務署に自主的に申し出た場合は、過怠税が1.1倍に軽減される制度があります。

本来の税額に加えて10%程度の上乗せで済むということです。3倍のペナルティに比べれば、かなり負担が軽くなります。

つまり、税務調査で指摘される前に、自社でチェックして是正できるかどうかが、負担額を大きく左右するということです。

小さく見えて、地味に痛い

印紙税は1件あたりの金額が小さいため、経理担当者も「後で貼ればいい」「そのうち確認しよう」と後回しにしがちです。

ですが、税務調査で契約書の束をまとめてチェックされると、貼り忘れや消印漏れが何十件と見つかることもあります。1件あたりは数百円〜数千円でも、まとめて3倍になると、決して無視できない金額に膨らみます。

防ぐ方法は難しいものではありません。契約書を作成・締結するフローの中に「印紙の要否確認」と「消印確認」のチェック項目を組み込む。これだけで、指摘されるリスクは大きく下がります。

電子契約に切り替えるという選択肢もあります。電子契約は印紙税の対象外とされているため、契約書の電子化が進んでいる会社では、そもそも印紙のリスク自体を減らせます。

もし自社の契約書や領収書の管理が「担当者任せ」になっているなら、この機会に一度、印紙の扱いをまとめて見直しておくのがおすすめです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。