先日、顧問先の社長からこんな相談を受けました。「保険営業さんに『逆ハーフタックスプランなら保険料を有利に処理できます』と勧められたんですが、これって本当にお得なんでしょうか」。

結論から言うと、逆ハーフタックスプランは節税効果が限定的な上に、思わぬ課税リスクを抱え込む手法です。名前だけ聞くと通常のハーフタックスプランをさらに強化したお得な仕組みに聞こえますが、中身を見ると話は逆で、慎重に扱うべきスキームだと考えられます。

そもそもハーフタックスプランとは

通常のハーフタックスプランは、法人が契約者となり、死亡保険金の受取人を法人、満期保険金や解約返戻金の受取人を役員・従業員の遺族とするタイプの保険です。この受取人設定によって、保険料の一部を損金算入できるという建て付けになっています。

逆ハーフタックスプランは、この受取人の設定を通常とは逆にする手法です。営業トークとしては「受取人を工夫すればさらに有利な処理ができる」という触れ込みで語られることが多いのですが、ここに落とし穴があります。

受取人設定が逆になると何が起きるか

受取人設定が通常と逆になると、保険料の経済的利益が誰に帰属しているかという解釈が非常に複雑になります。国税当局が保険料の一部を役員に対する経済的利益の供与とみなせば、役員側で給与課税が生じる可能性が出てきます。

給与課税が生じるということは、役員個人の所得税・住民税の負担が増えるだけでなく、法人側でも損金算入できると思っていた部分が否認され、結果的に法人・個人の両方で想定外の税負担が発生しかねないということです。実際、こうした受取人設定を巡っては税務上の解釈が分かれる論点が多く、税務調査で争点になりやすい領域でもあります。

「節税になる」という説明を鵜呑みにしない

保険営業の方が悪意を持って勧めているわけではなく、あくまで商品設計上のメリットを伝えたいという善意であることがほとんどです。ですが、節税効果を語るセールストークと、実際に税務署がどう判断するかは別問題です。

私がこれまで見てきた事例でも、逆ハーフタックスプランを導入した結果、当初期待していたほどの節税効果が出ず、むしろ給与課税によって手取りが目減りしたケースがありました。保険料の払い込み期間が長期にわたる商品だけに、途中で気づいても解約返戻金のタイミング次第では損失を抱えたまま身動きが取れなくなることもあります。

導入前に確認すべきこと

逆ハーフタックスプランに限らず、受取人設定を工夫するタイプの保険提案を受けたときは、次の点を必ず確認してください。

  • 受取人設定の根拠となる通達・裁決事例が明確に存在するか
  • 給与課税が生じた場合のシミュレーションを提示してもらえるか
  • 法人・個人トータルでの手取りベースの比較ができているか

保険会社や代理店の説明資料だけで判断せず、顧問税理士に受取人設定の妥当性を必ず確認してから契約することをおすすめします。

節税を謳う保険商品ほど、仕組みが複雑で解釈の余地が大きいものです。逆ハーフタックスプランの提案を受けたら、まずは一呼吸置いて、本当に自社にとって有利なのか、顧問税理士と一緒に数字で検証してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。