先日、顧問先の社長からこんな相談を受けました。「リースで節税したはずなのに、なぜか手元の資金が足りない」というのです。

決算対策として、大型設備をリースで導入し、大きな金額を損金に計上した年がありました。当期の利益は圧縮され、法人税の負担は確かに軽くなりました。しかし数年後、資金繰りが急に苦しくなったといいます。

原因はシンプルです。リース料は毎月一定額を払い続ける契約であり、節税効果が出た初年度以降も、資金は契約期間中ずっと拘束され続けます。しかも契約が満了を迎えると、リース資産の処分や精算によって益金が発生し、税負担が戻ってくる仕組みになっています。

「節税」ではなく「繰り延べ」

つまりこの手のリース節税は、税金を「減らす」というより「先送りする」ものだと考えたほうが正確です。今期の税負担を軽くする代わりに、将来のどこかのタイミングで、その分の税金がまとめて戻ってくる。節税ではなく、課税の繰り延べです。

顧問先の社長は、まさにこの構造を見落としていました。「今期の税金が減る」という目先のメリットだけに目を奪われ、契約期間中に資金がどれだけ固定されるのか、満了時にどれくらいの益金が出るのかを、事前にシミュレーションしていなかったのです。

繰り延べ型の節税スキームを検討するときに欠かせないのは、資金繰りと出口の両方を、契約を結ぶ前の段階でセットで試算しておくことです。

契約前に確認すべき3つのこと

まず、契約期間中の月々のリース料が、通常のキャッシュフロー予測にどれだけ影響するか。数年単位で固定費が積み上がることを織り込んでおく必要があります。

次に、契約満了時に発生する益金の規模と、そのタイミングでの税負担をあらかじめ試算しておくこと。「今期得した分」がそのまま将来の負担として跳ね返ってくることを忘れてはいけません。

そして、資金が拘束されている期間中に、他の投資機会や急な資金需要が発生した場合にどう対応するか。手元流動性に余裕を持たせておくことが、こうしたスキームを使う前提条件になります。

節税スキームそのものが悪いわけではありません。ただ、目先の税負担軽減だけを見て契約を進めると、数年後に「こんなはずじゃなかった」と頭を抱えることになりかねません。

もしリースや保険を使った節税を検討しているなら、契約書にサインする前に、資金繰り表と出口のシミュレーションを税理士と一緒に作っておくことをおすすめします。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。