先日、顧問先の社長からこんな一言をもらいました。「毎月の携帯代って、経費にならないんですか?」

もちろん経費になります。ただ「どれくらい?」「どうやって?」という部分で、多くの社長が損をし続けているのが現実です。知っていれば使えた仕組みを、知らなかっただけで10年間払い続けている——そういうケースを私は何度も見てきました。

今回お伝えする4つの方法を組み合わせると、年間80万円前後の経費化が十分に現実的です。実効税率30%で計算すれば、それだけで年24万円の節税になります。

役員社宅——「住む場所」を会社の経費にする

4つのなかで最もインパクトが大きいのが、役員社宅の活用です。

自宅の家賃をそのまま経費にすることはできません。でも「会社が物件を借りて、役員に安く転貸する」という形を取ると話が変わります。会社が支払う家賃の80〜90%を会社側の経費として計上でき、役員個人が負担するのは10〜20%程度でいい。

月20万円の家賃であれば、年間160万円超が会社の経費になる計算です。一度仕組みを作ってしまえばずっと使えるので、費用対効果は群を抜いています。新たに引っ越す機会があるなら、最初から会社契約で押さえるのが最もスムーズです。

旅費規程——規程を作るだけで日当が非課税になる

社内に「旅費規程」という規定を設けると、出張のたびに「日当」を非課税で受け取れるようになります。

給与として受け取ると所得税・住民税がかかります。しかし日当は「実費精算の一種」として扱われ、一定額までは課税されません。しかも会社側では全額を経費に計上できる。受け取っても課税されず、出した側は経費になる——このねじれが旅費規程の最大の妙味です。

日当の相場は宿泊ありで1日5,000〜10,000円、日帰りで3,000〜5,000円が一般的です。月に5〜6回の出張があれば、年間30万円前後の経費化になります。規程を作るだけで使える制度ですが、まだ整備していない会社が想像以上に多い。今期中に対応する価値は十分あります。

通信費の按分——スマホ代は「合理的な根拠」があれば堂々と経費に

個人のスマートフォンや自宅のインターネット回線を仕事でも使っているなら、その割合に応じて経費に算入できます。

全額を経費にするのは難しいですが、「按分」——事業利用割合を合理的に見積もること——は問題ありません。外出先でもメールや連絡をしている、自宅でリモート会議をしているという状況であれば、50〜60%程度の按分は十分に説明できます。

月3万円の通信費なら、60%按分で月1.8万円の経費化です。年間で約21万円になります。税務調査に備えて「業務で使った記録」を残しておくと、いざというときに安心です。

家族への給与——「手伝ってもらっている」なら給与を払う

配偶者や子どもが会社の業務を手伝っているなら、正式に従業員として給与を払うことで経費にできます。

帳簿の入力、請求書の作成、SNS管理、在庫管理——実態のある業務があることが前提です。月8〜10万円の給与を設定すれば、年間96〜120万円が経費になります。社会保険の加入義務が発生しにくいラインで設計することも重要なポイントです。

ただし「名ばかり従業員」は税務調査で否認されます。業務内容・勤務時間・給与の妥当性を整理した記録を残しておくことが、この方法を使い続けるための必須条件です。


4つを組み合わせると、年80万〜100万円の経費化は十分に現実的です。同じ利益を出しながら、税金の払い方を知っているかどうかだけで、10年間で数百万円の差が生まれます。

まだ旅費規程を作っていない、役員社宅を検討したことがないという方は、今期の決算前に顧問税理士に一度相談してみてください。整備するなら、早いほうが確実にトクです。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。