先日、年商3億円の建設会社の社長からこんな連絡が来ました。「決算が近づいてきたんだけど、何か節税できることある?」

毎年ギリギリになってから相談に来るパターン、実は非常に多いんです。でも、その社長が驚いていたのは「新しい制度を使っていなかった」ことではなく、「すでに使えるはずの経費を何年も取りこぼし続けていた」という事実でした。

節税というと、複雑な仕組みや特別な手続きが必要なイメージがあるかもしれません。でも実際は、今すぐ使えるのに知らないだけで損している経費がたくさんあります。合計すると年間200万円規模になることも珍しくありません。

5位:役員の健康診断費用を自腹で払っている

法人が費用を負担する役員の定期健康診断は、全額を会社の経費として計上できます。人間ドックも対象になるケースが多く、費用の目安は数万〜10万円程度です。

一般の従業員にも同じ検診を実施していること(福利厚生費として均等に提供する形)が前提になりますが、社長個人の自腹にしている方はすぐに法人払いに切り替えるべきです。何年もそのままだったとしたら、それだけで数十万円の話になります。

4位:「交際費」と「会議費」を混同している

接待交際費と会議費は似て非なるものです。交際費には損金算入の制限がありますが、会議費として計上できる支出は原則として全額経費になります。

「得意先と食事した」とひとまとめに交際費へ計上するのではなく、議題・出席者・場所をメモしておくだけで会議費に切り替えられるケースがあります。領収書の裏に一言書くだけ。手間のかからない対策にしては、積み重ねると大きな差になります。

3位:旅費規程を作っていない

出張のたびに交通費だけ実費精算して終わり、という会社は大きな機会を逃しています。旅費規程をきちんと整備すれば、日当を非課税で役員に支払えるようになるからです。

社長への日当を1日1万円と定めた場合、月に10日出張するだけで年間120万円を経費に計上できます。しかも社長個人にとっては非課税収入になるため、法人の節税と個人の手取り増が同時に実現するという、珍しい構造の節税手法です。

規程がなければこの恩恵はゼロ。「うちは小さい会社だから必要ない」と放置しているケースが多いですが、規模に関係なく使える制度です。今期まだ間に合うなら、早めに整備しておくことをおすすめします。

2位:飲食費の「1万円ルール」改正を知らない

2024年4月の税制改正で、1人あたり1万円以下の飲食費は交際費の枠から外れ、全額損金算入できるようになりました。

旧制度の5,000円ルールから倍増したにもかかわらず、まだ古いルールで運用している会社が意外と多いんです。得意先との食事が月5〜6回あるなら、1回あたり6,000〜9,000円の飲食費が全額経費になるかどうか、年間で積み重ねると数十万円の差になります。

経費精算の社内ルールや精算システムを旧制度のまま運用していないか、今すぐ確認してみてください。

1位:役員社宅を使っていない

これが最も節税効果が大きく、かつ最も活用されていない手法です。

仕組みはシンプルです。会社が物件を借りて、社長に転貸する。社長は会社に対して使用料相当額(家賃の10〜30%程度)を支払い、残りの70〜90%が法人経費になります。

たとえば月20万円の家賃の物件に住んでいる社長が、会社に月3万円を支払う形にすれば、差額の17万円が毎月法人経費です。年間で200万円を超える経費が生まれる計算になります。

ポイントは「会社が先に物件を借りること」。すでに個人契約している物件は、一度解約して法人契約に切り替える必要があります。手続きは少し面倒でも、効果は毎年ずっと続きます。使用料の具体的な計算方法は顧問税理士に確認するのが確実です。


これら5つのうち、一つでも「やっていない」ものがありましたか?どれも特別なスキームではなく、制度として認められている正規の節税手法です。

決算前のドタバタ節税より、こういった制度の整備に時間をかける方が長期的にははるかに大きなリターンがあります。特に旅費規程と役員社宅は、一度整えてしまえば毎年効いてくる恒久的な節税になります。まだ手を付けていないものがあれば、今期中に顧問税理士と一緒に確認してみてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。