先日、年商3億円の建設会社を経営する社長からこんな相談を受けました。「毎年ちゃんと申告しているつもりなんですが、もっと節税できる余地はありますか?」と。
帳簿を確認してみると、計上できるはずの経費がいくつも抜け落ちていました。合計すると年間で200万円近い損失になっていた計算です。
「知らなかっただけ」で数百万円を余分に納税しているケースは、決して珍しくありません。今日は、そんな「見落とされがちな節税経費」を5つ、ランキング形式でご紹介します。
第5位:スマホ・車の「按分」を見直してみてください
社長が個人のスマートフォンや車を業務でも使っている場合、業務利用割合に応じて経費計上が可能です。
たとえば車を週5日使い、そのうち3日が業務目的なら、維持費の60%を経費にできます。月の維持費が5万円なら、年間36万円の経費です。「なんとなく50%」ではなく、業務日誌や走行記録をもとに実態に即した割合で計上するのがポイントです。税務調査で根拠を問われたときに、記録があるかどうかで対応が大きく変わります。
第4位:旅費規程があれば、出張日当は非課税で受け取れる
「出張日当」という制度は知っていても、実際に旅費規程を整備している会社は意外と少ないものです。
社内で旅費規程を定めると、役員・従業員に1日あたり数千円〜数万円の日当を非課税で支給でき、その全額を経費にできます。受け取る側も所得税がかからないため、同額を給与として上乗せするより手元に残る金額が増えます。
年間の出張日数が50日で、1日5,000円の日当を設定すれば、年25万円がまるごと非課税です。旅費規程はA4一枚程度の書面でも構いません。まだ整備していない方は、今期中に作っておくことをおすすめします。
第3位:交際費の「1万円ルール」、フル活用できていますか?
2024年4月の税制改正で、交際費のルールが変わりました。1人あたり1万円以下の飲食費であれば、交際費として全額損金算入できるようになったのです(改正前は5,000円以下でした)。
顧客との打ち合わせランチ、取引先との軽い会食——こうした場面が月に数回あれば、年間でかなりの金額になります。ただし、証憑の管理は必須です。領収書に「誰と」「何の目的で」「何人で食事したか」をメモしておくだけで、税務調査への備えになります。この一手間を習慣にするだけで、経費の幅がぐっと広がります。
第2位:短期前払費用で、来年の経費を今期に前倒しする
「利益が出すぎてしまった」という決算直前のよくある悩みに対して、即効性が高い対策が「短期前払費用」です。
翌年度分の家賃・保険料・顧問料などを今期中に年払いにすると、支払った全額をその期の経費として計上できます。月30万円の事務所家賃を年払いにすれば、360万円を一括で経費化できる計算です。
ただし注意点があります。継続して年払いにすることが条件で、「利益が出た年だけ年払い」という使い方は認められません。中長期の資金繰りを見ながら、導入を検討してみてください。
第1位:役員社宅は、最も効果が大きい節税策のひとつ
節税経費の中でも、特に見落とされやすく、かつ効果が大きいのが「役員社宅」です。
仕組みはシンプルです。法人名義でマンションを借り上げ、役員がそこに住みます。役員が法人に対して「適正な賃料」の一部を支払えば、残りの家賃は全額法人の経費になります。
月20万円の家賃で、役員の自己負担が3万円になるケースでは、毎月17万円が経費です。年間204万円。これを給与として受け取った場合と比べると、所得税・社会保険料の節約額は相当なものになります。適正賃料の計算は床面積や固定資産税評価額をもとにした税法上のルールがあるため、税理士に試算してもらうのが確実です。
「知らなかった」で済ませるには、金額が大きすぎる
今回ご紹介した5つの経費は、どれも「知っているかどうか」で年間の納税額に大きな差がつくものばかりです。スマホや車の按分は今日から始められますし、旅費規程は一度作れば毎年使えます。役員社宅は設計次第で年間100万円以上の節税になることもあります。
「今さら聞けない」と思いながら放置してきた方は、この機会にぜひ顧問税理士に確認してみてください。決算直前でも間に合う手立ては、まだあるかもしれません。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。