先月、ある卸売業の社長からこんな相談を受けました。「税務調査の事前通知が来たんですが、インボイスって何か問題になりますか?」

その社長、実は取引先から受け取った請求書を「見た目でOKそうだから」という理由でそのまま処理していたんです。それが調査で指摘されたのですが、話を聞いて正直ヒヤっとしました。同じことをやっている会社、かなり多いからです。

インボイス制度が始まってから、税務調査の現場でインボイス絡みの指摘が急増しています。調査官は「ここを見ればミスが出る」というツボをしっかり把握していて、中小企業では同じパターンが繰り返されています。

今回は、実際に税務調査で指摘されやすいインボイスのミスを3つ、ランキング形式でお伝えします。自社に当てはまるものがないか、ぜひ確認してみてください。

第3位:取引先の登録番号を確認していない

仕入税額控除を受けるには、取引先が「適格請求書発行事業者」として国税庁に登録されていることが前提条件です。ところが、相手が登録しているかどうかを確認しないまま、もらった請求書をそのまま経費処理しているケースが非常に多い。

確認は簡単で、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」に登録番号(T+13桁)を入力するだけです。10秒もあれば終わります。

問題は、長年取引している仕入先でも、インボイス制度への登録は任意であることです。「昔から付き合いのある業者だから大丈夫」というのは通用しません。万一未登録だった場合、支払った消費税の控除が全額認められなくなります。

第2位:受け取った請求書に記載事項が足りない

適格請求書には、法律で定められた記載事項があります。なかでも特に見落とされやすい3点がこれです。

  • 適格請求書発行事業者の登録番号(T+13桁)
  • 適用税率(10%・8%の区分)
  • 消費税額(税率ごとに分けて記載)

この3点のうち1つでも欠けていると、その請求書は適格請求書として認められません。控除が全額否認されるリスクがあります。

特に多いのが「登録番号は書いてあるけど、消費税額が税率ごとに分かれていない」というケース。「消費税 ○○円」と一括で書いてあっても、10%分と8%分の内訳が明記されていなければNGです。古い請求書フォーマットをそのまま使い続けている取引先からの書類は、とくに要注意です。

受け取った瞬間に「登録番号・適用税率・消費税額」の3点を確認する習慣をつけるだけで、このリスクはほぼゼロにできます。

第1位:インボイスを保存しないまま仕入税額控除を申告している

これが最も多く、最も深刻なミスです。

帳簿に「○○商事への支払い 110,000円(うち消費税10,000円)」と記載してあっても、帳簿だけでは控除できません。帳簿と適格請求書の両方を保存して、はじめて仕入税額控除が認められます。

「PDFで届いたけど保存先が分からなくなった」「紙でもらったけど処分してしまった」という話が、実際の税務調査で次々と出てきています。

この指摘を受けると、控除の全額否認に加えて、過少申告加算税として10〜15%の追加課税が発生します。年間の仕入税額控除が500万円の会社なら、否認額次第で50万〜75万円が余計に出ていく計算です。保存期間は原則7年間。電子データで受け取ったものは、電子帳簿保存法のルールに従った形での保管が必要です。

今日からできる3つの確認

ミスを防ぐために、まず以下の3点から手をつけてみてください。

  1. 登録番号の確認を定期化する(半年に1回、主要取引先を国税庁サイトで確認)
  2. 受け取り時に請求書をその場でチェックする(登録番号・税率・消費税額の3点確認をルール化)
  3. インボイスの保存場所を社内で明文化する(電子はフォルダ名・保存先、紙はファイリングルールを決める)

インボイス制度は2023年に始まったばかりで、税務調査官も「移行期だからミスが多い」と分かっています。それだけに、今のうちに社内ルールを整えておくことが、将来の調査リスクを大きく下げる最善策になります。

顧問税理士に「うちのインボイス管理、穴がありませんか?」と一度確認してみてください。その30分の会話が、数百万円単位の節税と安心につながることがあります。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。