先日、年商10億円の建設会社の社長からこんな相談がありました。「今年の4月に社用車を3台入れ替えたんですが、自動車税の請求がえらく高くて……」。

話を聞いてみると、3台合計で約20万円の自動車税が届いていたそうです。「車の値段からすれば仕方ない」と思って払ってしまっていた、と。

でも実は、登録のタイミングをたった1ヶ月ずらすだけで、初年度の自動車税はほぼゼロに近い金額まで圧縮できていたんです。

自動車税は「4月1日時点の所有者」に1年分まとめて来る

自動車税には、あまり知られていない大原則があります。毎年4月1日の時点でその車を所有している人に、1年分まるごと課税されるという仕組みです。

4月2日に売却しようと、4月1日に名義があれば1年分の税金を支払わなければなりません。「もうすぐ手放すのに」という話は通じないんです。

一方、新規登録のときだけは話が違います。初めて車を登録する場合は、月割り制度が適用されます。ここに節税のポイントが隠れています。

3月末登録と4月登録では、初年度の税額がまったく違う

月割り制度は、登録した翌月から翌年3月までの月数分だけ納税すればいい、という仕組みです。

4月に新規登録した場合——翌年3月まで12ヶ月分が課税されます。事実上、1年分まるごとです。

3月末に新規登録した場合——登録した翌月は4月ですが、課税対象は翌年3月まで。初年度の残り月数は0ヶ月。つまり初年度の自動車税は、たったの1ヶ月分で済みます。

排気量3,000cc前後の高級セダンなら、年間の自動車税は1台あたり約6〜7万円。これを3台、4月に登録すると初年度だけで約20万円の自動車税が発生します。

同じ3台を3月末に登録すれば、初年度はわずか約1万6,000円。登録タイミングの違いで、約18万円の差が生まれる——これが現実です。

「うちは9月決算だから関係ない」は危険な思い込み

「決算月が3月じゃないから、3月末は関係ない」と思っている社長が意外と多いです。でもこれは誤解です。

自動車税は決算月とは関係なく、毎年4月1日を基準に課税されます。9月決算でも12月決算でも、この基準日は変わりません。社用車を購入するなら、決算月に関わらず3月末登録を狙うのが鉄則です。

ただし、3月末は全国的に車の登録が集中する時期でもあります。ディーラー側の手続きが立て込んでいて、「3月末にお願いしたのに間に合わなかった」というケースも珍しくありません。

「今期中に社用車を入れ替えたい」と思っているなら、早めにディーラーへ相談することが大切です。2月中には動き始めるくらいの感覚でいると安心です。

車種・台数によって節税効果は変わる

自動車税は排気量によって金額が決まります。軽自動車なら年間約1万円、排気量3,000cc超なら年間約6万6,500円(2019年10月以降の新規登録は一部引き下げあり)。

1台でも効果はありますが、複数台を保有・入れ替えする会社ほど、このタイミング戦略は大きなインパクトになります。高級車を複数台運用している会社なら、数年続ければトータルで100万円単位の差になることも十分あります。

なお、社用車まわりの税務は登録タイミングだけではありません。中古車の活用や減価償却の組み合わせ、リースか購入かの選択など、検討できる選択肢は複数あります。「3月末登録」というシンプルなルールを押さえたうえで、全体の最適解は顧問の税理士と一緒に考えるのがベストです。

来期に社用車の購入・入れ替えを検討しているなら、今から動き始めることをおすすめします。登録タイミングを意識するだけで、何十万円もの差が出ることを覚えておいてください。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。