先日、顧問先の社長からこんな話を聞きました。「うちの会社、接待ゴルフや会食で年間500万円くらい使っているんだけど、これって全部経費になるんですよね?」と。確認してみると、経理担当者が「交際費は経費にならない」と思い込んで、科目を雑費に振り分けていたんです。
これ、かなりもったいない話です。
中小企業は年間800万円まで全額OK
法人税法では、交際費は原則として損金不算入とされています。ただし中小企業(資本金1億円以下の法人)には特例があって、年間800万円までは全額損金に算入できます。
仮に800万円を丸々使い切ると、法人税率を約25%として計算した場合、最大200万円の節税効果が生まれます。裏を返せば、使える枠を余らせたまま決算を迎えるのは、純粋に損をしているということです。
2024年4月改正で「1万円ルール」が登場した
さらに見逃せないのが、2024年4月から始まった改正です。
これまで「5,000円基準」と呼ばれるルールがありました。1人あたりの飲食代が5,000円以下なら、交際費の枠を使わずに全額経費化できるという特例です。この上限が、改正によって1万円に引き上げられました。
つまり、1人あたり1万円以下の社外の方との飲食は、800万円の交際費枠とは別に経費計上できるようになったということ。ランチ接待や軽い会食がグッとやりやすくなりました。
飲食費の特例を使うには5項目の記録が必要
ただし、この「1万円ルール」には条件があります。飲食費として交際費から除外するためには、以下の5項目を書面に記録・保存しておかなければなりません。
- 飲食等のあった年月日
- 参加した得意先・仕入先等の氏名または名称と関係
- 参加者の人数
- 飲食等に要した金額、飲食店等の名称・所在地
- その他参考となる事項
領収書だけでは不十分です。誰と、何人で、どういう関係で飲んだのか——それを記録として残すことが求められています。「面倒だから領収書だけとっておこう」では税務調査で否認されるリスクがあるので、記録の習慣をつけることが大切です。
「交際費」の対象は意外と広い
交際費として計上できるものは、接待飲食に限りません。得意先へのお中元・お歳暮、顧客へのゴルフ代、取引先との観劇やスポーツ観戦なども含まれます。
一方で、社内の従業員だけで行った忘年会や打ち上げは、原則として交際費ではなく福利厚生費として処理します。接待相手に社外の関係者がいるかどうか、が一つの判断ポイントになります。
決算前に「交際費枠の残り」を確認する習慣を
節税の観点からは、決算の2〜3ヶ月前に交際費の累計額を確認しておくことをおすすめします。枠が余っているなら、必要な接待や贈答を前倒しで実行できます。
ただし、「使い切ろう」と焦って事業と無関係な出費を交際費に紛れ込ませるのはNGです。あくまで取引先との関係維持に使った費用が対象であり、私的な飲食代を交際費として計上すると、税務調査で問題になります。
今期の交際費があといくら使えるか、まだ確認していない社長はぜひ経理担当者に聞いてみてください。使える節税枠を意識的に活用するだけで、手元に残るお金は確実に変わってきます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。