先日、顧問先の社長からこんな連絡が届きました。「今年もまた自動車税の封書が来ました。毎年5月、この時期だけ憂鬱になります」。

5月は自動車税の納付月です。普通車(2,000cc以下)なら年間3万6,000円、2,500cc以下なら4万5,000円、3,000cc以下なら5万1,000円と、排気量に応じて毎年確実に出ていく費用です。「仕方ないもの」として払い続けている社長も多いのですが、実は3つのことを知っているだけで手残りが大きく変わります。

EVに乗り換えると翌年の自動車税が最大75%軽減

まず知っておきたいのが、電気自動車(EV)への優遇制度です。

EVを購入すると、翌年度の自動車税種別割が最大75%軽減されます。通常3万6,000円(2,000cc以下相当)かかるところが、乗り換えれば約9,000円まで下がる計算です。

「1年で2万7,000円の節税」と聞くと小さく感じるかもしれませんが、この軽減は毎年継続します。10年乗り続ければ累計27万円以上の差になります。EVの購入を検討している方なら、車両価格や充電コストだけでなく、自動車税の節税効果もトータルで試算してみてください。

なお、軽減率はEVの種類(BEV・PHEV等)や取得時期によって異なる場合があります。最新の制度は取得前に必ず確認しておきましょう。

法人名義で取得すれば減価償却として毎年損金に

個人名義で車を所有している社長に多いのが、この節税機会を見逃しているケースです。

個人名義の車は原則として個人の資産。いくら業務で使っていても、購入費用をそのまま会社の経費にすることはできません。一方、法人で車両を取得すれば、購入金額を減価償却として毎年の損金に算入できます。

たとえば500万円の車を法人で取得した場合、定額法・耐用年数6年(普通乗用車)では毎年約83万円を経費計上できます。実効税率30%の法人なら、年間約25万円の節税効果。5年間では125万円の差です。

同じ車に乗り続けながら、名義だけで生まれるこの差は見逃せません。ただし、実際に業務で使用している実態が必須です。プライベート専用の車を法人名義にすることは認められていませんので注意が必要です。

ガソリン代・保険料・駐車場も「事業使用分」は経費になる

車両の購入費用だけでなく、維持費も経費化できます。

ガソリン代、自動車保険料、駐車場代、車検費用、タイヤ代など、車にかかるほぼすべての費用が「事業使用分」については経費計上の対象です。

ここで重要なのが「按分(あんぶん)」の考え方です。月の走行距離1,000kmのうち600kmが業務、400kmがプライベートであれば、60%が経費になります。走行距離での按分が最も説得力がありますが、使用日数での按分も認められています。

年間でガソリン代12万円、保険6万円、駐車場24万円、車検その他10万円なら合計52万円。このうち60%按分で31万2,000円が経費になります。実効税率30%なら約9万3,600円の節税効果です。「そんなに経費になるの?」と驚く社長もいますが、按分率の根拠となる走行記録をきちんと残しておくことが前提です。Googleマップの履歴やドライブレコーダーのデータを活用している方もいます。

節税効果は「経費額×実効税率」で計算する

ここで改めて整理しておきましょう。

節税効果の基本的な計算式は「経費額 × 実効税率」です。実効税率は中小企業の場合、おおむね25〜35%の範囲です。経費として100万円多く落とせれば、30万〜35万円の税負担が軽くなる計算です。

逆に言えば、経費の計上漏れが続くと、毎年知らずのうちに数万〜数十万円を余分に納めていることになります。自動車税だけで年間5万円の差が出るケースも珍しくありません。10年では50万円です。「知っているかどうか」の差が積み重なっていく典型例と言えます。


まずは「自分の車の名義(個人か法人か)」と「事業使用の割合(だいたいどのくらい業務で使っているか)」を確認することから始めてみてください。この2点を把握しておくだけで、次の顧問税理士との面談がずっと有意義になります。按分率の設定や具体的な手続きは、税理士と一緒に整理するのが確実です。

5月の自動車税納付書を見て「また来た……」と思うだけで終わらせるのは、少しもったいないかもしれません。

※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。