「うちの会社、なんで3月決算なんだろう……」
先日、設立4年目の建設業の社長からこんな一言をもらいました。よく聞いてみると、設立時に「とりあえず3月で」と決めてから一度も見直したことがないとのこと。
決算月を深く考えたことがある社長は、実は少ないものです。でも、この一択で同じ売上・同じ経費でも手元に残るお金が数十万円変わることがあります。今日はその話をします。
繁忙期の直後を決算月にする
決算月を選ぶときにまず考えたいのが、自社の売上が集中する時期との関係です。
結論から言うと、繁忙期が終わった直後の月を決算月にするのが節税面で有利になりやすいです。
理由はシンプルで、売上が確定してから経費を使う時間的余裕が生まれるからです。決算直前に「急いで何か経費を使わなきゃ」と焦る経験をした社長は多いと思いますが、あれは繁忙期と決算月のタイミングがずれているせいで起きます。12月に売上が集中するなら、決算月を2〜3月にしておくと、稼いだ後に落ち着いて節税の手を打てる状態が作れます。
消費税の免税期間を最大化する
これが金額的にもっともインパクトが大きい話です。
法人を設立すると、基準期間(2期前)の課税売上が1,000万円以下であれば、最初の2事業年度は消費税が免税になります。この免税制度、設立月と決算月の組み合わせによって実際に免税が続く期間が大きく変わります。
たとえば、4月に会社を設立して決算月を翌3月(12ヶ月)にすると、1期目は丸々12ヶ月です。一方、設立月の前月——つまり3月——を決算月にすると、1期目はほぼ1ヶ月で終わり、2期目を丸々12ヶ月確保できます。結果として、免税期間の合計が最大2年近くに延びるケースも珍しくありません。
消費税が10%の今、年商5,000万円の会社なら課税と免税の差は約500万円。これを意識せずに設立するのは、かなりもったいない話です。
税金の支払いと資金繰りのタイミングを合わせる
法人税の申告・納付は、決算月の翌々月が原則です。決算月が変われば「税金を払う月」も変わります。
売上が少ない閑散期に大きな税金の支払いが重なると、一時的にキャッシュが苦しくなります。繁忙期が終わって売上が入金されてから税金を払う——そんなサイクルを意識して決算月を設定しておくだけで、資金繰りの安定感が格段に変わります。
銀行融資を受けている会社なら、返済期日との兼ね合いも確認しておくと安心です。
設立後でも決算月は変更できる
「もう設立してしまった」という方も、諦める必要はありません。決算月は、株主総会の決議と定款変更で変更可能です。手続き自体はそれほど複雑ではなく、司法書士への報酬も含めて数万円程度で済むことが多いです。
ただし、変更した期の事業年度が短くなることや、消費税の課税期間の扱いなど、変更前に確認すべき点があります。「変えたほうがいいかな」と感じたら、まず税理士に相談するのが賢明です。
決算月は設立時に一度決めたら終わりではありません。会社の売上構造や成長ステージが変わるタイミングで、見直す価値は十分にあります。まだ「なぜこの決算月なのか」を考えたことがないなら、今期中に一度税理士と話し合ってみることをおすすめします。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。