先日、これから会社を立ち上げるという知人から、こんな相談を受けました。
「設立にお金がかかりすぎて、正直しんどいです。定款認証とか登録免許税とか、司法書士さんへの報酬とか……合計で25万円くらい飛んでいきました」
気持ちはよくわかります。設立初期は売上もまだ立っていないのに、出ていくお金ばかりが目につく時期です。ただ、この25万円、実はそのほとんどを経費として取り戻せることをご存知でしょうか。
設立にかかったお金は「創立費」という資産になる
会社を作るときにかかった費用は、税務上「創立費」という繰延資産に分類されます。定款の認証手数料、登録免許税、そして司法書士や行政書士への報酬まで、設立登記が完了するまでにかかったお金は、基本的にすべてここに含まれます。
「資産」と聞くと、経費にならないのではと心配になるかもしれません。ですが創立費は、好きなタイミングで経費に落とせる、かなり使い勝手のいい資産です。
第3位 司法書士報酬も含まれる
登記手続きを自分でやらず、司法書士に依頼した社長は多いはずです。この報酬、決して安くはありません。相場では5万円から10万円程度かかることも珍しくないでしょう。
見落とされがちですが、この司法書士報酬もれっきとした創立費の一部です。領収書さえきちんと保管しておけば、後からまとめて経費計上できます。
第2位 5年以内で自由に償却できる
創立費の最大の特徴は、償却のタイミングを自分で決められることです。通常の減価償却のように「毎年決まった額を機械的に費用化する」のではなく、5年以内であれば好きな年に好きな金額を経費にしてよいというルールになっています。
たとえば設立1期目は赤字続きで利益が出ていないなら、無理に経費化せず資産として残しておく。そして2期目、3期目に利益が出た年にまとめて経費に落とす。こうすることで、利益が出て納税額が膨らみそうなタイミングに合わせて、節税効果を最大化できます。
利益が読みにくい創業期だからこそ、このタイミングの自由度はありがたい仕組みです。
第1位 登録免許税も経費にできる
株式会社設立の場合、登録免許税だけで最低15万円かかります。合同会社でも6万円が相場です。これは金額のインパクトが大きい分、経費化できるかどうかで手元に残るお金が大きく変わってきます。
定款認証手数料と合わせると、株式会社であれば20万円台になることも多く、司法書士報酬を加えれば25万円という数字も十分に現実的な水準です。この全額を、利益が出たタイミングで経費に回せると考えれば、決して小さな話ではありません。
注意しておきたいポイント
創立費として計上するには、設立登記までにかかった費用であることが条件です。登記後に発生した事務所の家賃や名刺代などは、別の繰延資産である「開業費」として扱われるため、区分を混同しないようにしましょう。
また、いずれの費用も領収書や請求書がなければ経費として認められません。設立準備中は何かとバタバタしがちですが、支払いの証憑は必ず残しておくことをおすすめします。
創立費は、知らなければただの持ち出しで終わってしまうお金です。まだ経理処理をしていないなら、決算前に一度、設立時の領収書を整理してみてください。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。