先日、子会社に運転資金を貸し付けている製造業の社長から、こんな相談を受けました。
「利息は来月まとめて振り込んでもらう予定なんですが、今期の決算には関係ないですよね?」
残念ながら、これは典型的な誤解です。決算日までに発生した利息は、まだ受け取っていなくても今期の収益として計上しなければなりません。
なぜ「未受領」でも計上が必要なのか
法人税の世界では、現金を受け取った日ではなく、権利や義務が発生した期間に対応させて損益を認識します。これを期間対応の原則と呼びます。
費用の世界では、この考え方はかなり浸透してきました。決算日までに発生しているのにまだ請求書が届いていない経費を「未払費用」として計上する処理は、多くの経理担当者が当たり前に行っています。
ところが同じ理屈が収益側にも適用されることは、意外と見落とされがちです。貸付金の利息、貸倉庫の賃料、継続的な業務委託料など、時間の経過とともに発生する収益は、決算日時点で発生している分を「未収収益」として計上する必要があります。
具体例で考えてみる
例えば、子会社に3,000万円を年利3%で貸し付けているケースを考えてみましょう。
利息の支払サイクルが半年に一度で、決算日から2か月後に次回の利払いがある場合、決算日までの2か月分、つまり15万円程度が未収収益として計上対象になります。
「実際に振り込まれてから帳簿に載せればいい」という感覚で処理していると、この15万円が期ズレとして扱われ、翌期の収益として先送りされてしまいます。
金額としては小さく見えるかもしれませんが、税務署OBの立場から見ると、この手の期ズレは典型的な調査対象です。費用の繰り延べで所得を圧縮する動きと同様に、収益の先送りによる所得圧縮ではないかという目で確認されます。
計上漏れが招くもの
未収収益の計上漏れが発覚すると、単純に翌期に回せばよいという話では終わりません。過少申告として修正申告の対象になり、過少申告加算税や延滞税が発生する可能性があります。
特に注意したいのは、関係会社間の貸付利息です。第三者との取引と違って督促や利払い催促の緊張感が薄れがちで、利息の入金自体が後ろ倒しになりやすい傾向があります。入金が遅れているからといって、収益の計上まで一緒に遅らせてよいわけではありません。
実務での対応方法
継続的に発生する利息や賃料がある場合は、契約書に記載された利率・料率をもとに、決算日までの経過分を月割りや日割りで機械的に算出しておくのがおすすめです。
毎期同じ計算ロジックで未収収益を洗い出す仕組みを作っておけば、計上漏れも防げますし、税務調査で説明を求められたときにもすぐに根拠を示せます。
もし社内に複数の貸付金や賃貸借契約があるなら、一覧表にして利率・契約期間・直近の利払日をまとめておくと、決算のたびに未収収益を拾い忘れるリスクを大きく減らせます。
まだそうした管理表を作っていないなら、次の決算に向けて今のうちに整備しておくのがおすすめです。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。