先日、フリーランスのコンサルタントをしている方からこんな相談を受けました。「売上がもうすぐ1000万円に届きそうなんですけど、法人化って必要ですか?」
この質問、じつはとても多いんです。そして答えはシンプルで、売上1000万円前後は、法人化を本気で検討すべきタイミングです。理由は大きく2つ——消費税の仕組みと、所得税率の壁です。
消費税は「2年後」から追いかけてくる
個人事業主として売上が1000万円を超えると、その2年後から消費税の納税義務が発生します。今年超えたなら、再来年から消費税を申告・納付する立場になるということです。
ここで法人化という選択肢が活きてきます。個人事業を廃業し、新しく法人を設立した場合、一定の条件を満たせば最長2年間、消費税が免除される可能性があります。
年間の消費税負担が100万円とすれば、免除期間の2年間で200万円。法人設立にかかる費用(登記費用や司法書士費用で20〜30万円程度)を差し引いても、十分なリターンになります。
所得税55%という見えない壁
もう一つが、所得税率の問題です。個人事業主の所得税は累進課税で、所得が増えるほど税率が上がります。住民税を含めると最高税率は55%。稼いだ利益の半分以上が税金に消える計算です。
一方、法人税の実効税率はおよそ22〜34%程度。所得が増えるほど、この差が節税効果に直結してきます。
課税所得が800万円のケースを考えてみましょう。個人なら所得税・住民税合わせて300万円以上の負担になることもあります。法人化によってこれを大幅に圧縮できれば、手元に残るお金がまったく変わってきます。
なぜ「1000万円」が目安なのか
法人の設立・維持には当然コストがかかります。法人住民税の均等割(最低7万円)、社会保険料の負担増、税理士顧問料など、トータルで年間50〜100万円程度を見込むケースが多いです。
それでも売上1000万円前後から法人化のメリットが出やすいとされているのは、消費税の免除インパクトと所得税率の差が、このコストを上回ってくるからです。逆に言えば、売上がそこに届いていない段階では、コスト負けするリスクも十分あります。
タイミングと条件を間違えない
ただし、注意点もあります。
法人設立のタイミングを誤ると、消費税の免除が受けられないケースがあります。個人事業主として課税事業者になった後に法人化しても、メリットが薄れることがあるからです。また、代表者や出資者の条件によっては、設立初年度から課税される場合もあります(特定期間の要件など)。
社会保険の加入義務も見落とせません。厚生年金・健康保険の保険料負担が増えるため、この分を織り込んだシミュレーションが必要です。「税金は減ったけど社会保険料が増えてトントンだった」という話は珍しくありません。
売上1000万円に近づいてきたと感じているなら、今すぐ税理士に相談することをおすすめします。タイミングを一度逃すと、消費税の免除期間が短くなったり、節税効果が薄れたりします。「来期から考えよう」と後回しにしがちなテーマですが、法人化は登記や銀行口座開設など準備に時間がかかります。早めに動くことが、結果的に手元に残るお金を大きく変えます。
※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。