先日、ある社長からこんな相談を受けました。「毎月の携帯代、個人口座から払ってるんですが、これって経費にできますよね?」\n\n聞いてみると、仕事でも私用でも同じスマホを使い、自宅のネット回線も個人名義のまま。毎月数万円を何年も”自腹”で払い続けていた、というケースでした。\n\n実は、こういった社長は珍しくありません。携帯代やネット代は毎月発生するコストだからこそ、正しく経費化できると年間の節税効果は思った以上に大きくなります。今回は、多くの社長が見落としがちな3つのミスを順番に見ていきます。\n\n## 3位:按分ルールを知らないまま全額自腹にしている\n\n個人名義のスマホでも、仕事に使っている割合に応じて法人経費に計上できます。これを「按分(あんぶん)」といいます。\n\nたとえば月1万円の携帯代で、仕事に使う割合が7割なら、7,000円を法人経費にできます。年間で8万4,000円。何年も自腹で払い続けていたとしたら、それだけで相当な金額を損していることになります。\n\nただし「なんとなく7割」では税務調査で指摘されるリスクがあります。業務での通話記録や、仕事で使うアプリの使用状況など、按分割合の根拠となる記録を日頃から残しておくことが大切です。\n\n## 2位:Wi-Fiルーターや自宅回線を個人持ちにしている\n\n自宅兼事務所で働いている社長なら、インターネット回線代も按分で経費にできます。月5,000円の回線代を仕事6割で使っているなら、3,000円が経費になる計算です。\n\n年間で3万6,000円。「たいした金額じゃない」と感じるかもしれませんが、これが5年続けば18万円の差になります。Wi-Fiルーター本体も、購入時に按分で経費計上できます。\n\n自宅のネット代を個人口座から引き落としにしている社長は、今すぐ見直してみてください。毎月何も手を打たないことが、一番もったいない選択です。\n\n## 1位:そもそも法人契約に切り替えていない\n\nこれが最も影響の大きいミスです。\n\n個人名義の携帯を使いながら月々の費用を会社に精算する方法でも経費化はできますが、最初から法人名義で契約するとさらにお得になります。理由は、消費税の仕入税額控除(インボイス対応の課税事業者の場合)も使えるからです。\n\n携帯代に含まれる消費税分も控除対象になるため、個人精算の方法と比べると年間で数万円の差が生まれることがあります。特に複数台のスマホを社員に持たせている会社では、この差がより大きくなります。\n\n契約変更は少し手間がかかりますが、一度やってしまえばあとは何もしなくていい。早めに動いておく価値は十分あります。\n\n## 節税の鉄則は「根拠を残す」こと\n\n按分経費に共通する注意点として、按分割合の根拠を記録として残すことが欠かせません。\n\n業務日報や通話履歴、使用スケジュールのメモで十分です。「仕事7割、私用3割」という数字が何に基づいているか、税務調査があった際に説明できる状態にしておくことが大切です。記録があるかどうかで、調査の結果は大きく変わります。\n\n今期まだ法人契約に切り替えていない、または按分計算をまったくしていないという社長は、ぜひ一度見直してみてください。毎月の固定費を正しく経費化するだけで、年間十数万円の節税につながることもあります。まずは顧問税理士に相談して、自社の実態に合った方法を確認しておくのが一番の近道です。\n\n※本記事は一般的な情報提供を目的としています。具体的な税務判断は税理士にご相談ください。